A Man Called Liam. - リアムという男 -

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3.  視察最終日の土曜日、同行していた議員とNSWの議員の懇談会を欠席したヨンソンが向かったのは、シドニー湾に流れ込む川を内陸へと遡った街にあるクリニックだった。  長さの違う三角屋根が特徴のクリニックの正面玄関から入ったヨンソンが見たのは、そろそろ診察が終わりを迎える土曜日のクリニックにしては長閑な光景で、待合室で会計を待っているらしい患者やその家族らの様子を横目に、受付のカウンターに手を付いてハイとスタッフに呼びかける。 「?」  唐突に親しげに呼びかけられたヘンリーが眉を寄せるが、そんな不審者を見るような顔にならなくてもと苦笑され、いや、どう考えても不審者だろうと胸中で呟いた時、部屋の奥からホワイトが出てくる。 「どうしたの?」 「事務長、こちらの方が……」 「ああ、不審者だ」  ヘンリーの言葉にひらひらと手を振りながらヨンソンが笑みを浮かべ、自ら不審者と名乗る彼を胡乱な目で見つめたホワイトだったが、カウンターの外部からは見えない場所にある警察への通報ボタンを押すべきかどうかを逡巡してしまう。 「あ、そのボタンは押さないでくれ。今日リアムは休診だろう?」  カウンターを指さしつつ笑顔でヨンソンが問いかけ、その問いに二人が顔を見合わせた後、あなたのお名前はとホワイトがボードを胸に抱えながら問いかける。
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