37人が本棚に入れています
本棚に追加
「ケヴィン」
「何だ?」
「うん……あまりそのことを言い続けていると……」
俺のダーリンが血相を変えて駆けつけてくるぞと笑ったリアムがシャルルに己の飲み物を注文し、二人にも同じもので良いかと問いかけながら口の端を持ち上げる。
「お前のダーリンはフロアで踊り狂っているんじゃないのか?」
そんなあいつが駆けつけてくるのかと小馬鹿にしたように笑いながらスツールを回転させたゴードンだったが、予想外の近さに少し上気した顔を突き出して笑みを浮かべる慶一朗を発見して絶句してしまう。
「ハイ、ハニー。ジジイ達に苛められているのか?」
何と言うことだ、よくも俺のハニーを苛めてくれたなと、カウンターの内側で三人の様子を見守っていたルカですら呆気に取られてしまうような表情を浮かべた慶一朗がリアムの肩に腕を回し、慶一朗の大仰な仕草に付き合うようにリアムが頭を慶一朗の肩に預けるとキスが降ってくる。
「マイガッ!」
二人のその様子にゴードンが悔しそうに叫び、ヨンソンが天井を見上げて何やらブツブツと呟くが、リアムの飲み物を運んできたシャルルに気付いた慶一朗が俺にも同じものをとオーダーをし、茶番に付き合ってくれてありがとうとの思いを込めて髭に覆われている頬に口付けると、リアムとゴードンの間にスツールを運んできてまるで防波堤になるかのように割り込む。
最初のコメントを投稿しよう!