A Man Called Liam. - リアムという男 -

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 ヨンソンの言葉にリアムが天井を見上げ、その横では慶一朗が何とも言えない顔になっているが、二人より付き合いの長いゴードンが全てを察している顔で頷き、さあ、そろそろ帰るぞと名残惜しさを押し隠して笑みを浮かべる。 「リアム、ホーキンス先生によろしくな」 「え? あ、ああ、うん」  今日の午前にクリニックを訪れたことをまだ知らないリアムの顔に疑問が浮かぶが、恩師に宜しくと伝えることは何も不思議では無いと納得したのか、二人に手を差し出してしっかりと握手をし、一年ぶりの再会が本当に楽しいものだったと言葉と笑顔で伝え、慶一朗もさすがにこの時ばかりは皮肉な顔を掻き消し、再会できて本当に嬉しかったと穏やかな笑みを浮かべる。 「またな、リアム、ケイ」 「気を付けて帰ってくれ」  俺たちも今日は家に帰ることにするからと笑うリアムにそっと身を寄せた慶一朗に気付いた二人だったが、特に何かをいうでも無く鷹揚に頷き、シャルルが手配してくれていたタクシーが到着したことを伝える為に店の中に入ってきたセキュリティスタッフのアンディの呼びかけに手を挙げる。  そうして店を出て行く友人達を見送った二人だったが、カウンターの内側でずっと見守っていたルカの前に戻ると、今日は家に帰ることを伝え、駐車場に停めさせて貰っている愛車に乗るため、カウンターの奥のドアをそっと潜って今日は奥で仕事をしていたラシードにまた来ると伝えて店の勝手口から出て行くのだった。    
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