A Man Called Liam. - リアムという男 -

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 ディナー時に連絡もなく突然押しかけた自分達を笑顔で出迎えるだけではなく一緒に食って行ってくれと満面の笑みで食事に誘い、その用意や後片付けなど嫌な顔一つも見せずにてきぱきと行う姿を思い出し、自分だったら突然来た時点でアウトだし、飯を食わせろと言われたら勝手に食いに行けと言って追い出すとヨンソンが髪を掻きながら呆れた様に呟くと、その通りだと言いたげにゴードンが腕を組んで何度も頭を上下させる。 「あの性分は褒められるものだろうがなぁ」 「毎日一緒に仕事をしている先生はどう思っているんだろうな」  超絶お人好しでそれを利用され搾取されているとしか思えないリアムと毎日一緒に働いている自分達の恩師でもあるホーキンスはどう思っているのかとヨンソンが呟きゴードンが顎に手を当てるが、以前何かの折に聞いたことがあると続け、ヨンソンが友人の顔を覗き込む。 「……自分を馬鹿にしたり好意を利用する人の思惑も分かった上で自分は自分の道を行く、そんな事を先生が話していた気がする」  目の前にある己への悪意に気付きつつもそれを回避もせずに突き進むだけだと笑ったとホーキンスから教えられたことをゴードンが思い出したのは、リアムという男の存在を事故のオペを通して知ってから少し経った頃だった。 「視察時に松葉杖を手放せない子供の説得をしていただろう?」 「ああ、廊下に座り込んで何をしているんだって話していた時だな」
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