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ケアンズからやって来たドクター達を何故か案内する羽目に陥っていたテイラーが発見し、見つからないように廊下の角からそっと様子を窺うように見ていたのは小児科病棟のナースステーション前の廊下に座り込み、退院するのに杖を手放せない様子の少年と話し込んでいる大きな背中だった。
「あの時も昨日も感じたのは、ケアンズで再会した時より一回りも二回りも大きくなっているんじゃないのかってことだった」
ゴードンの言葉の意味をヨンソンが優秀な脳内で捏ね繰り回した結果導き出されたものは、肉体的に鍛えているからではないのかという上っ面しか見ていない者のような言葉ではなく、精神的に、有り体に言えば人として成長したということかとの言葉で、ゴードンがその通りと言いたげに指を向ける。
「ああ」
ケアンズで初めて話をした時、人としての大きさよりも底抜けのお人好しというどちらかと言えばネガティブなイメージしか持てなかったがと続けるヨンソンに微苦笑し、確かにそうだとゴードンも同意をするが、あの時病院の裏庭で二人が一緒にいる姿を遠目に見た時に以前とは違うと感じたことも伝え、ヨンソンが半信半疑の目を向ける。
「ただ優しいだけのお人好しではないという事か?」
「そうだな」
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