A Man Called Liam. - リアムという男 -

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 周囲が己に向ける好悪の感情だけではなく、己を利用しようとする悪意すらも理解した上でそれを踏み越えていく、そんな強さを持っているのかと感心半分呆れ半分の顔でヨンソンが溜息を吐くが、それを手に入れなければならなかった過去がきっとあったんだろうとゴードンが目を細めつつ遠くを流れる雲へと目を向ける。 「……ケイはそれを理解しているのか?」  ヨンソンの小さな呟きは風に乗って静かに眠る人々の上を流されていくが、若かりし頃に経験した理不尽さを思い出しているのか、その顔に浮かんでいるのはいつも飄々としている男とは思えない苦悩の表情で、それがヨンソンの曝け出された本心だと気付いているゴードンが無言で頷いた後、暮らす場所は違っても親友であることに変わりはない友人の肩を抱いて安心させるように腕を一つ叩く。 「廊下の真ん中に座り込んでいれば邪魔だと叱っていたが、庭での二人きりになった時の顔を見ただろう?」 「ああ、大きな背中を小さくさせていたな」  先日の視察時に偶然見かけた年下の友人ー二人にとってリアムと慶一朗は既に友人だった-が廊下で繰り広げる日常の一コマを偶然目撃したが、ゴードンが小さく笑いながら告げた様に、リアムよりも一回り小さい慶一朗が遠目にも呆れているような顔で何やら告げていたのを思い出し、ヨンソンも釣られて肩を揺らしだす。
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