BL。

過去

俺は「恋」というものをしたことがない。小学校でも、中学校でも。「恋」というものをしたことがないから、友達とのそういう話題にいつもついていけなかった。
でも、嫌われたくない。ハブられたくない。そういう思いがあったから、

いつも、いつも。そうだね、そうだよね。

って合わせてきた。中二の時、結構遠いところまで引っ越したから、「親友」なんているはずもなく、既にグループが形成されてる中で一人、新しくやってきた邪魔者。ただ、幸いにも顔と運動神経と頭はいいからすぐになじめた。ただ少し、感情が欠落しているだけ。

そんな中でも俺に最初から仲良くしてくれたやつがいる。でも、そいつとも「親友」にはなれなかった。ならなかった。俺が親友になることを拒んで、俺の事はあまり明かさずに、あいつばかり自分の事を話してくれたから。

あいつは俺の事を親友だと思ってくれている。そうであったとしても、俺はあいつの事を親友と思うことはできない。親友って、信用して、仲が良くて、そいつの事なら大体知っている。そんな関係だと思うから。俺はあいつにとってそうではないし、あいつは俺なんかと釣り合う玉じゃない。もっといい奴とそういう関係なれるはずだから。

俺はずっと一人でいい。 器用でもない俺は、裏切られる事が、死ぬことよりも怖いことだと思ってしまう俺は、他でもない自分自身を守るために必要以上に関わらず、ずっと一人でいい。一人じゃ無いとダメなんだ。

ずっと、ずっと。そう思っていたかったのに。

高校の入学式。あんなことになるなんて。

「恋」なんて一生しないと思っていたのに。