出会い編 第一話

1/1
651人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ

出会い編 第一話

窓から明るい日差しが差し込み、日向ぼっこでもしたい。そんな呑気なことを考えている七瀬 凪(ななせ なぎ)はIT企業の総務部で働いている社員 主な仕事は、社内業務。オメガであるため重要な仕事は任されない こんな日に、日向ぼっこなんか考えてしまう、能天気でドジ…こんな僕が、会社に入っただけでも、Ωである僕なりに頑張ったと思って働いているが、Ωという第2性別を持っていなければ、もっと働けたのかな…なんて、いつも思っている そう…このオメガという第2性別がなければ… カタカタカタ…と必要文章をパソコンに打ち込んでいると、背後からぽんっと肩に手を置かれた 誰だろ?と考えたが、気配と、匂いで何となくわかる。この人は〝部長〟だ Ωなため、いつクビと言い渡されてもおかしくは無い。それに僕のドジをプラスすれば、もうクビは確定したもの… ゴクリっ…と唾を飲み込み気合いを入れて振り返った 振り返り、部長の目を見て「はい、部長。なんでしょう」と答える 「ちょっと、来てくれるかね?」 なんだろう?と思いつつ「はい」と答えて、部長に着いて行った 部長が来たせいか、呼ばれたということは、僕のクビ確定が雰囲気で伝わっているのかは分からないが、部署の空気感は最悪。 部署内の人に見られたり、コソコソ話されたりしながら、部長について行く 何となく雰囲気でわかる。僕はクビだ 確定しているし、覚悟はしてたけどそうなのか…と落胆していると同じΩであり、同期でもある葵はるとが部署内に響き渡る声で「あちゃ~僕の同期である、七瀬くんがクビになっちゃうのか~、寂しいなぁ~」と言ってきた 寂しくなんかないだろ!いつも上層部のお偉いさんが来たらチヤホヤされてるくせに! ちょっと顔がいいからって調子乗りやがって! た、確かに…僕よりかは顔がいいけど… はるとは童顔で、低身長なのに、スタイルも結構いい。守ってやりたくなるような感じ。髪型は茶色で、程よいぐらいにクルクルしてる。 僕はというと、顔は、普通。可もなく不可もなく。スタイルは普通。守りたいとも思わない体型。髪型は黒髪で、前髪はちょっと目にかかっていて、セットもせずに、下ろしている。至って普通?普通以下の僕が、何故か、はるとは対抗心を燃やしてくる 睨んでやろうかと振り返ろうとしたけれど、クビになることはもう確定みたいだし、ここで何か言ったところで変わらない… 最も、Ωの僕が騒ぎを起こしたなんてなったら、一発でクビ… *** コツコツ…と足音を立てながら、部署を抜け、応接室とドアに書かれた部屋の前に来たら 部長が先に部屋のドアノブを掴み開け「入りたまえ」と言われたので「失礼します」とお辞儀をして中に入った 中は質素な感じで、2人がけソファーが向かい合って置いてある クビって話し合うことあるのかな? クビはさすがにダメだから、辞職するまで、悪いところ全部言われるとか? どちらにせよ、会社を辞めることは決定か…お金欲しかったのに…と悔やんでいると「座りたまえ」とソファーの方から部長の声がした 即座に「はい!」と返事をして、部長と向かい合って座る 部長は真剣な顔で「君には、スパイになってもらう」と言われた ……スパイ!?
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!