オカンの弁当

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大阪ではオカンの弁当はよく話のネタになる 自分のオカンの弁当がいかに特殊で奇怪であったかを競い合い、笑う うちのオカンもかなりのものだった 裏若き乙女であった中学生時代、お弁当は仲良しのグループで机を引っ付けてみんなで食べたものである 唐揚げ美味しそう じゃああげるー ありがと 卵焼きと変えっこしよー 的な みんなの視線がお弁当に集まる なのに うちのオカンの弁当よ 二段重ねのお弁当箱のごはんの方を開けると めざしが一匹白ごはんの上を泳いでいる アンタ、めざし好きやろ うん 好き だがしかし乙女の弁当にめざしは入ってないの やめてー でも笑いは取れた ありがとう 遠足の日 佃煮だと思って食べたらチョコレートやった ごはんと合わん! おやつや、おやつ 遠足やろ うん まあ、ありがとう 高校入試の日 朝、お弁当のふたを何度も開けたり閉めたりしている母 覗き込むとスゴイ勢いでフタをして 早よ用意してきっ! 何よ、もう用意出来てるよ お昼の時間 お弁当のフタを開ける まばらに置かれた紅生姜 針金のような金釘文字で ガンバレ! 「紅生姜で書くか! 桜でんぶとかちゃう?普通」 思わず叫び、ライバルの受験生たちとも笑い合えた ありがとう オカンの弁当 それはネタの宝庫であり、愛である ありがとう
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