12.

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「達喜、ごめん。」 「知生、ごめん。」  声も、言葉も、ピッタリと重なって、私たちの間に落ちた。  お互いキョトンとして見つめ合い、同じように小首を傾げる。 「なんで達喜が謝るの?」 「なんで知生が謝るんだ?」  また重なった言葉が、また2人の間に落ちた。  私たちは、その落ちた言葉の中に答えを探すように、2人で地面の上に視線を泳がせる。けれどここに答えはないと悟り、またお互いを見やった。  無言で拳を上げると、達喜も同じようにした。2人で拳を上下に振り、達喜はパーを、私はチョキを出した。  達喜が顎を前に出しながら、私を指さす。私は頷いて、先に話し出した。 「急いでたら、人を押しのけていいのか?」 「あん?」 「イライラしてたら、人を叩いていいのか?」 「なんかの標語か?」 「傷ついてたら、人を傷つけていいのか?」 「ん?俺が答えるの?」 「答えは、全てNOです。」 「まあ、そうだな。」 「でも私は、それをしてしまっていました。」 「信号無視でもしたのか?」 「達喜を傷つけました。」 「ぉぅ!?」  達喜が驚いて間抜けな声を上げる。
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