11.

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 しばらくは予定がいっぱいだって言ってたのに。  そう思うとまた涙が出てきて 「本気で避けられてる~。心底、愛想つかされたんだぁ。」 とテーブルに突っ伏した。 「へぇ。そうなんだ。残念だな。」  リュウさんが平然と言い 「そうかしらねぇ?」 と文さんが呟く。 「あ、まだ死にそうな顔してたぞ。」  リュウさんがそう言い残して、また仕事に戻っていった。  私はムクッと起き上がって 「死にそうな顔してるの?まだ?」 と呟いた。文さんが頷いて 「まだ、傷ついてるのねぇ、きっと。」 と気の毒そうに言った。  私は椅子の背もたれに体を預けて、考え込む。  私にできることなんて、ないよね。  大きくため息をついてお茶を飲み、おつまみを食べた。  その後は、文さんの銀座時代の話を聞きながら時間を過ごした。
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