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 それからは仕事に集中し、時間が過ぎていく。達喜は会議をこなし、外出もして、また席で事務仕事をしている。時々もぞもぞとお尻の位置を調整しているので、まだ全快ではないのだなと、横目で心配したりした。  午後になり、達喜をチラリと盗み見る。今日何度目か分からないその行為が、癖になってしまいそうで、自粛しなければと考えていると、達喜が誰かに向かって小さく手を挙げた。視線を追うと、フロアを出口さんが横切っているところだった。彼女は微笑んで小さく会釈し、そのまま通り過ぎていく。達喜も微笑み、手を下す。  ジクリと胸が疼き、目を逸らす。  生きるって痛いな。  などと思いながら、また仕事に意識を戻した。  そんな日が何日も続き、何週間も続いた。  達喜から、予定に隙間ができたという連絡はない。  『ありがとう』だけいえれば十分だと言ったのだから、仕方のないことだ。そいういう言い訳ができることが、ある意味逃げ道になって、あの時の自分の発言に感謝したりした。
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