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「さっきその話したら、みんな驚いてました。森さん30代じゃなかったの~!?って。」 「あー、せっかく勘違いしてくれてたのに、バラしちゃったの?」 「すみません。」  金子くんが首をすくめ、私は笑いながらメニューを眺めた。  飲み会に参加するのは久しぶりで、こういう時、何を飲んでいたっけ、と考えていると金子くんが、あれやこれやとオススメを教えてくれた。 「じゃ、金子くんと同じので。」  そう言うと、金子くんが機嫌よく注文までしてくれて、しばしば配慮に欠ける発言はあるけど、いい子だな、と思う。  わいわい、がやがやと、いかにも飲み会らしい時間を過ごしていると、達喜が現れた。 「あー!永山部長!おそーい!」  酔いが回り始めている若者たちが、嬉しそうに達喜を迎える。 「悪い、悪い。思ったより手こずって・・・っと、知生!?」  私を見て驚いた達喜が、思わず下の名前で私を呼んだ。 「知生!?」 「ちお!?」  若手何人かが驚き、百瀬さんが嬉しそうに 「お2人は同期なんですよねー。」 と言った。達喜と私が頷くと、知ってたとか知らなかったとかいう会話がひとしきり飛び交った。
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