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12.
それから数日が過ぎ、達喜のお尻もだいぶ回復したのか、モゾモゾとする回数が減ったように思えた。
私も、泣いたり、落ち込んだりは減っていて、達喜のお尻と私、どっちが先に完全復活するかなぁ、なんて考えて、クスリと笑えるくらいにはなっていた。
今日はやたらと仕事が立て込み、残業確定で、久しぶりに屋上で伸びをしたくなった。夕方が過ぎるのを待ち、空が暗くなり始めてから、そっと屋上に上った。
日中は汗をかくほどの暑さだったけれど、日が落ちると外気はひんやりとしていて心地よかった。空を見上げて両手と背筋をグッと伸ばすと、それらをストンっとおろしながら息を吐いた。
「気持ちいい。」
呟いてから、手を振り回したり、体の側面を伸ばしたりして、体を労わった。
「お、涼しいな。」
急に声が聞こえて驚くと、達喜だった。
「お疲れ。」
そう言いながら、煙草を取り出して、いつもの場所に歩いていく。
「お疲れ様。」
ストレッチをやめて、ぼんやりと達喜を目で追う。
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