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「人肌を達喜に求めたのは、同期のよしみを逸脱して、達喜の心を無視してた。」
達喜が、全てを察したように息を吐き、口を閉じた。
「ああいうことは、あんな風に求めてはいけなかった。達喜、ごめんなさい。」
私は頭を下げ、達喜は下を向く。私が顔を上げても、達喜は下を向いたままだった。
「でも、応えてくれてありがとう。本当に救われた。達喜がいなかったら、私、消えてたかもしれない。」
「そんな事言うなよ。縁起でもねー。」
達喜が顔を上げて、私を真っすぐ見た。彼の目には涙が浮かんでいて、それを見た私の目にも涙が浮かんだ。
「達喜、ありがとう。」
もう一度言うと、お互いの目から涙が零れた。
達喜が下を向いて、私も下を向く。お互い、しばらく鼻をグズグズ鳴らしていたけれど、落ち着いたところで顔を上げて向き合った。
「次、達喜の番。」
私が促すと、達喜が頷いて話し出した。
「相手のためと見せかけて自分のためではないか?」
「へ?」
「優しさを装った狡さではないか?」
「ん?」
「助けという名の裏切りではないか?」
「ん??」
「答えはすべてYESです。」
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