12.

4/10
前へ
/129ページ
次へ
「人肌を達喜に求めたのは、同期のよしみを逸脱して、達喜の心を無視してた。」  達喜が、全てを察したように息を吐き、口を閉じた。 「ああいうことは、あんな風に求めてはいけなかった。達喜、ごめんなさい。」  私は頭を下げ、達喜は下を向く。私が顔を上げても、達喜は下を向いたままだった。 「でも、応えてくれてありがとう。本当に救われた。達喜がいなかったら、私、消えてたかもしれない。」 「そんな事言うなよ。縁起でもねー。」  達喜が顔を上げて、私を真っすぐ見た。彼の目には涙が浮かんでいて、それを見た私の目にも涙が浮かんだ。 「達喜、ありがとう。」  もう一度言うと、お互いの目から涙が零れた。  達喜が下を向いて、私も下を向く。お互い、しばらく鼻をグズグズ鳴らしていたけれど、落ち着いたところで顔を上げて向き合った。 「次、達喜の番。」  私が促すと、達喜が頷いて話し出した。 「相手のためと見せかけて自分のためではないか?」 「へ?」 「優しさを装った狡さではないか?」 「ん?」 「助けという名の裏切りではないか?」 「ん??」 「答えはすべてYESです。」
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加