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 部長と体を重ねた翌週の土曜日、高校からの友人とランチをした。 「知生(ちお)っち、なんか疲れてない?」  顔を覗き込んで訊いてくる小林(れい)をまじまじと見つめて 「濃いクマつけた人に言われたくないわ。」 と言うと、怜がわざとらしく大きなため息をついた。 「これさ、取る方法ないのかね?夜間授乳終われば消えると信じてたのにそのまま居座られて、もう下の子の断乳から、かれこれ5年経つんですけど?」 「忙しすぎるんだよ、怜ちゃんは。仕事、育児、家事。よく頑張ってる。」 「もっと言って。」 「会社員、母、妻。パンクしてもおかしくない。それなのにパンクせずに日々を回してる。偉い。」 「もっと。」 「尊敬。」 「もう一声。」 「怜ちゃんはすごい。」 「知生っち、大好き。」  嬉しそうにパスタを頬張る旧友に微笑むと、相手はハッとしてまた私の顔を覗き込んだ。
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