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1.
「プロポーション変わらないですね。」
自分のパンプスが響かせている音を聞きながら、口が半分開いてしまいそうなくらいぼんやりして歩いていたら、隣を歩いていた後輩に言われて、抱えていたファイルを落としそうになった。
「へ?」
「運動とかしてるんですか?」
爽やかに訊いてくるこの後輩は、高身長で趣味は野球とピアノ、30代半ばの好青年・・・ではあるけれど、しばしば配慮に欠ける発言が見受けられる。
「してません。」
「40代でお腹出てないってすごいですよ。」
私の下っ腹をにこやかに眺めながら言うので
「30代ではお腹出ててないのは当たり前?」
と訊くと
「まぁ、そうですね。30代のうちは頑張ってほしいかな。」
と微笑みながら返してくる。
「まぁ、私も30代なので。」
サラッと言ってやると、後輩が驚愕の顔で固まった。
私はまじまじと彼を見つめて
「謝るなら早いほうがいいですよ。」
と教えてあげた。
「す・・すみません。」
「いいんですよ。私、お腹は出てないけど顔は老けてるので。」
「いや、若いですよ!」
「40代にしては、でしょ?ま、30代なんですけどね。」
「ご、ごめんなさい!」
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