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突然の大捕物劇
ついにやってきた。
私は巨大な駅を一歩出て、希望に胸を膨らませた。
外は雨だったけれど関係ない。
初めて一人で乗った飛行機や、何両も連なる電車に目を白黒させて、ひたすら右往左往して、何度も駅員に聞いて……。
やっと辿り着いた東京。
これから私が暮らす場所。
戸惑いや不安も大いにあるけれど、やはり希望が上回る。
女子高生の身で単身、やってきたからには、立派に一旗挙げてみせるのだ。
父さん、母さん。
全国優勝目指して、やってやるよ……!
ショートカットの黒髪を掻き上げ、そう気合を入れたときだった。
ドンッと私の肩になにかぶつかってくる。
「ひゃぁ!?」
思い切りよろけた私。
なんとか足を踏ん張って、倒れるのは免れた。
もう、乱暴なひと!
確かに邪魔だったのかもしれない……け……ど……!?
ムッとして、でも反省したのは数秒だった。
何故なら、私にぶつかって駆け抜けたのは一人の男性だったけれど……。
「あ……!?」
その手には、私が横に置いていた大きなボストンバッグがしっかり抱えられていたのだから。
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