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「そっちのきみも。一緒に来て」
今度、彼は私を見た。
ようやくはっきり顔を見て、ドキッとする。
涼しい目元、短い黒髪。
頭になにかよぎるように感じた。
「は、……い」
でもそれどころではないから、やっと足を踏み出す。
しかし彼は何故か、じっと私を見てきた。
全身を見るような視線をされて、私は戸惑う。
でも数秒だった。
「あっちだ」
視線を逸らした彼に先を示されて、そのあとは事務的だった。
近くの交番の警察官により、泥棒は身柄を拘束され、私が被害届を出して、ことは一旦解決となった。
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