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『─…凪砂、良かったらこれ見てくれない?瀬凪の妊娠が分かった日から、検診の度に細かく書いてきた記録。凪砂に見て欲しい。』
少しして、私は凪砂に握らせたままの母子手帳を見て欲しいと声を掛ける。
凪砂はゆっくり頷くと、イスに腰掛けて黙って母子手帳を1ページずつめくっていく。
─…こんな日が来るなんて
ずっと細かく記録しておいて良かった。
隅々まで目を通す凪砂が愛おしくて、その様子を見逃さないように、瞬きも忘れてジッと凪砂を見ていた。
しばらくすると、ある程度読み終えたのか、そっと大事そうに母子手帳を閉じると、私に手渡してきた。
この一年半のことを少しでも凪砂に知って貰えたかなあ、、なんてくらいに考えていた私は、、
『─…え、凪砂?』
私を見て、ツーっと瞳から涙を流した凪砂を見てとても驚愕した。
『な、なずなっ?!ごめんっ、私余計なことしたかなっ、え・・・どうしよう』
凪砂の泣きそうな顔は何度か見たことがあったけど、涙を流しているところをみるのは初めてで・・・とても焦った。
「お前が一番大変で、苦しい思いをしてる時に・・・一緒に居てやれなかったことが、凄く悔しい。」
凪砂の泣いている理由を知って、私は胸が傷んだ。
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