海が凪いだら迎えに来てね。

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帰ってから目を覚ました瀬凪が、寝てしまう前にとりあえず急いで作ったご飯を押し込むように食べさせて、弾丸でお風呂に入れた。 そんな私の様子を凪砂はずっと近くで見ていて、何か手伝ってくれるわけでもないのに、ただただずっと隣に居た。 さすがにお風呂のあいだは外で待っててもらったけど、そのタイミングで洋平がきたみたいで、凪砂に対応してくれるように頼んだ。 案の定お風呂を出て着替えてすぐに、眠ってしまった瀬凪を見て、本当に今日一日楽しかったんだろうなっと寝顔を見て思った。 起こさないように、そっと寝室に瀬凪を寝かせて、洋平に買ってもらったベビーモニターのスイッチを押して、静かに寝室を出た。 「っお、萩花おつかれ~・・・お邪魔してます!!」 スーツ姿の洋平は、本当に仕事おわりに来てくれたみたいで、何ももてなすものがなくて申し訳なく思った。 『お疲れ様、洋平。今から夕飯作るから、時間あるなら食べて帰る?っあ・・・今日美優ちゃんは?まだ仕事?』 冷蔵庫から前に洋平が買いだめして残っていたビールを取り出して手渡す。 「あぁ、今こっちに向かってる。来る途中で飯買ってくるらしいから、夕飯は大丈夫!!それより、映画見ていい!?萩花んちのサブスクでしか見れねぇやつあるんだよなぁ~・・・」 ──はい? このカップル、ここに泊まるつもりなのか? 状況を読み込めずにいる私に、凪砂が急に立ち上がって声をかけてきた。 「今から出かけるから支度しろ。30分後には出る」 そう言って凪砂は煙草を持ってベランダに向かった。
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