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行き先はすでに決めてあるのか、、
凪砂は自身が乗って来た車に私を乗せて、何も言わずに発進させた。
音楽も何も流れていない車内はとても静かで、少し緊張する。
─…何も私たちって二人の時何話してたっけ?
いや、主に私一人が話していた記憶しかない。
窓の外を見ながら、夜に出歩くなんていつぶりだろうっと考えていると、突然膝に置いていた手に凪砂の手が乗せられて、驚いて飛び上がる。
「─…なんか喋って」
重ねられた手のひらから伝わってくる凪砂のぬくもりに、泣きそうになる。
『な、ななな凪砂の手・・・温かいね。そういえば私たちが初めて手を繋いだ時の事覚えてる!?ほら、あの蕎麦屋さんで凪砂が突然付き合ってみる?って言ってきた帰りに、テンション上がった私が凪砂の手をギュって・・・』
そうだ、そんなこともあったな・・・
自分から繋いだ私の手を、強く握り返してくれた凪砂の手も、今みたいに温かかったのを今でも覚えている。
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