〜凪砂side〜

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ヘリの中で、萩花の額のタオルを外した時、俺は気がおかしくなりそうだった。 ドクドクと溢れ出す血液が見えた瞬間、完全に冷静さを失っていたと思う。 ──何があった? あの船の中で一体何が起こったらこんなケガを負うことになるんだっ?大体、何で船なんか乗ったんだよっ・・・優香のことがあってから、海には近付かないって言ってたじゃねぇかっ・・・ 怒りと焦りで気が動転する俺に、萩花が手を伸ばして来たのが分かった。 「せなっ・・・子どもっ・・・助けて!お願い、凪砂っ・・・凪砂が守って・・凪砂がっ」 ──セナ 子どもの名前だと言うことはすぐに理解した。そんなことはお前に言われなくても、元から俺が面倒を見てやるつもりだった。 ついでに言えば、子どもの父親がこの後迎えに来たとしても、船に一緒に乗っていない時点で父親としても旦那もしても失格だから、今すぐ離婚届けを取りに行けと言うつもりだった。
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