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それにしても、誕生日を祝ってくれたって別れることになるのなら、そんな約束果たされない方が良かったと思うのは私だけだろうか?
「今までろくに約束事を守ってやれなかったから、最後くらい思い出に残るようなことをしてやりたかった」
──…は?
いやいやいやいやいや、何それ!?それって誰のため?!罪滅ぼし?思い出作り?そんなの全部っ、、
『凪砂の罪滅ぼしと思い出作りに、私は今日付き合わされたってこと?』
結局は自分のことしか考えて居なかったような態度の凪砂に腹が立って、角が立つような言い方をしてしまう
でも仕方ない、だって私はもう既に今・・・冷静ではないのだから
「はぁ・・・なぜそうなる?俺はただ、お前の誕生日を一緒に祝いたかったんだ。一つくらい、いい思い出があってもいいだろ?」
ーー・・・いい思い出?
『あの・・・いい思い出ってなに?もう既にいまこの時点で、私の誕生日の思い出としては"史上最悪な思い出"になろうとしてるんだけど』
これ以上はまずいかなぁっと思いながらも、凪砂の言い分が気に入らない私はつい噛み付いてしまう
『だいたいっ・・・別れてくれって何?!どうして急にそんなこと言うの・・・理由聞いてもいいよね?まさか"守秘義務"だなんて、バカなこと言わないよねっ?!』
"バカなこと"今まで凪砂の仕事のことを一度たりともこんな風に言ったことは無い。それ程までに今、私は必死だった
ヒートアップする私とは裏腹に、落ち着いて冷静沈着な凪砂は、私の放った言葉に一瞬眉をピクリと動かしたものの、それ以上顔色を変えることなく静かに語り出す
「─…そういうとこ、お前のそういう気性の荒いところ・・・帰ってくる度にうんざりしてた。一緒に居て居心地が悪かった。この先お前と一緒にやっていく自信がない。だからお前が30代になる前に別れておこうと思った」
淡々と話されるその内容は、私の胸をジリジリと締め付ける。凪砂がこんなにも長く話しているところを初めて見た。初めてが別れ話なのは辛いけど、本当は沢山話をする人だったのかな?
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