詩「冬の木々」

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あの朝日を遮る 病院の横の木々は 枯れているのだろうか 北風に吹かれて 枝々を剥き出しにした あの木々は―― カビ臭い暖房の下で 手垢のついた窓ガラスに映る オレの顔はどうだろうか 無様かもしれない オレはいったい いつまで夢を追うのだろう 青いはずの空が くすんで見える 俺はとっくに 死んでいるのかもしれない 若い世代に 追い抜かれていく 嫉妬か 気がつけば テレビを見なくなった 禁酒して 禁煙して 野菜を食べ運動して 神に祈って―― オレの顔は この窓ガラスにぼやけるのが 精一杯だ それでも あの木々は―― まだ春を待っている 凍えるような夜も 誰かの窓明かりが寂しいときも どうだろうか まだ待てるだろうか まだ――
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