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食後にもう一杯のコーヒーをまったり飲んで一息つく。
お腹は一杯。空はずっと青い晴天で太陽が真上にあるのにガゼボの日よけのお陰で暑くは無いし、気持ち良いそよ風がさわさわ葉音を運びながら頬を撫でていく。
「は~…幸せ。」
立案したのは俺だけど、こんなにちゃんとピクニック感が出てる構内デートが成功するとは思わなかった。
やっぱり吟味したこの場所が好かったんだなと自画自賛せずにはいられない。
「風が気持ちいいな」
「だよねぇ、緑がたっぷりあって静かでまったりできるなんて、なんかほんとピクニックだよねー」
とはいっても場所は大学敷地内なんですが。ってセルフツッコミは心の中でちゃんとする。
いやしかし、遠出することなく日常の延長線でこの非日常感のあるリラックスタイムは最高でしょ。
目端にある校舎もどことなく素敵な洋館チックじゃない?
人気の無さも手伝って、楽園にふたりっきり…な錯覚になる。
だから気が弛んでついつい手を繋いでしまう。ここがどこなのかはわかっているのに頭から抜け落ちてしまって警戒心が無くなっていた。
「悠馬、隣に行ってもいい?同じ景色を同じ角度から見たい。」
「うん、来て。」
俺もそう思ってた、嬉しい。って言葉で言えたらいいのにやっぱり性格なのか言えなくて、だから、晃からの行動はなんでも受け入れたいとせめてもの気持ちで許す。
隣り合えば狭い席だ、腕ごと指先まで絡めて自然と晃の肩に軽く頭をのせる。
「悠馬の髪はサラサラして気持ちいな」
いいながら晃は俺の旋毛(つむじ)にキスをした。そしてそのままトントントンって軽く跳ねるリズムでおでこに向かって何度もキスが落ちてくる。
「ン、もー…くすぐったいじゃん。」
悪戯だなってすぐわかる。だって幼児とか赤ちゃんにするみたいな親愛の愛情表現のキスだもん。
キスっていうか、ちゅー、だな。
軽く視線を見上げるように風景から晃へ移すと、ほらやっぱりいたずらっ子な顔して俺のこと見てた。
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