エピローグ

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(なんで俺が今日はじめて顔を認識したような劣性の男性オメガの弁護なんかしなくちゃいけない?) たしかにソレは根強い議題で課題だ。 けれども何度も改変され追加項目が増したオメガ法は盤石だとも理解している。 俺が彼を気になったのは、既婚なのに大学に通う珍しさとオメガらしくない容貌のせいだ。 あと、そもそもこの大学に二年遅れでも通おうとする彼の研鑽は評価に値する。 「まっ関係ないからどうでもいいんだけどさぁ」 「お前ってやつは…」 「だぁって、既婚オメガなんてどうしようもないでしょ?相手はアルファなんだろうしチョッカイかけたら藪蛇にしかなんないじゃん。」 「そりゃそうだ。」 「はーぁっ、恋愛したいなぁ」 唐突に、中谷がため息交じりにそんなことを言うから眉が寄る。 優性アルファである以上、オメガもベータも女はいくらでも寄ってくるくせにとおもってしまう。 「なんだよ急に、選り取り見取りだろお前。」 「それはそうなんだけどーぉ、純愛っての?そういうのがしたいの俺はっ」 いつになく力強く言うもんだから声が大きくなって周りの注目を浴びる。 「わ、なっ…馬鹿かお前!声が大きいぞ!」 「ぁ、ごめぇん…」 焦ってシュンとしょげて大人しくなる中谷は、それでも同意を求めるように向う隣りを歩く倉田悠馬にも「な?な?」と声を掛ける。 、
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