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オメガにとって結婚は「夫」を得ることであり、男でも妻になり母親になる。
(…そういえば、沢村さんも結婚してるから当然「おくさん」なんだよな。)
子供、は…多分いないんだろうな。もしいたら母性が強いオメガは大学なんか通わないだろうし。
………あの人はマーキングもしないような男を愛せているんだろうか。
俺の親はよくある男女婚で、権力者らしく確かに父さんには他にも奥さんはいたけどみんな女の人だし腹違いの兄弟とも仲良く育った。自分から見た限りは母親同士の仲も悪くはなかったとおもう。
それが普通で、あたりまえ。っていう感覚しか俺はなかった。
むしろ珍しい劣性オメガとして生まれた俺の事はどの母親も気にかけてくれていたし特別優しくされていたともおもう。
大学に通うための説得を父さんにしてくれたのも母親たちで、ずいぶんと甘やかされて育ったんだと一人暮らしをしてやっと気が付いたくらいだったから。
「それなのに俺ってやつは……ぁああぁ~…っ」
『オメガの苦しみはオメガにしか分からない。』と母さんたちは言っていた。だから協力し合うのだと。
だけど、俺は今日そのオメガの沢村さんを言い訳にしただけじゃなく、物凄く憐れんだ言い方を聞いているだけで否定はしなかった。
憐れまれたくない。そんなんじゃない。と、思っているのは俺自身なのに。
「俺って嫌な人間だな、大人になってから嘘ばっかりついてる。」
成人して自由になるんだと意気込んだところで未だ甘ちゃんなのは否めない。
学費も生活費も住んでるマンションも与えられてお小遣いも貰っているののどこが大人なのか、っていう。
あの沢村さんは本当は俺なんかよりも強い人なのに、かわいそーとか言っちゃってさ。庇おうともしなかった。
3年遅れで進学してるってことは、多分オメガ発症が早くて結婚をした後にちゃんと旦那さんと向き合って話し合って説得できたってこと。
俺みたいに甘やかされて逃げてるような人間がバカにしちゃいけないくらい戦える人なんだって、わかってるから…妬っかんだんだよな、俺。
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