それはとても重要な告白でした。

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両頬を挟んでいた俺の手首を掴んで優しく外した晃は、やっぱりまだ申し訳なさそうに身を縮こまらせたまままだどこか迷っている。 「俺は、悠馬が好きだ。それは嘘じゃないし、一回だけでもとは言ったが軽んじた訳でも興味本位でもない。…でも、」 「でも、なに?」 「…やっぱり、俺と悠馬は、違う。」 「どこが?」 「悠馬は、恋人がいるだろう。付き合ってはいないかもしれないが…毎月同じフェロモンを纏うくらいには親密な関係のオメガがいるじゃないか。」 「それは…っ」 (え、うそ、マジで?消臭し切っていたとばかりおもっていたオメガフェロモンがバレてた!?) 顔色がサアっと青ざめるのが自分でもわかる。 「あぁ、いや…そんな焦らなくてもいい。わかっていたんだし。ただ、だから俺とは違うってだけの話なんだ。俺は…所謂「ゲイ」で、男しか好きになれない。でも悠馬は、…ちゃんと女が好きなんだろう?」 伺うように、上からなのに見上げるような器用な視線に戸惑う。 どう、答えたらいいんだろう? 「ゲイ」、それは主にベータ性の中での同性愛を指す性嗜好の一種だ。 外見的性別である第一性が同じもの同士の恋愛を男同士ならゲイと呼び女同士ならレズと省略して呼ぶ。 勿論、生殖に関して重要視されるのは第二性ではあるものの、外見性である第一性と第二性がチグハグなのが劣勢アルファと劣性オメガがのふたつだ。 特に外見から判らないのが俺のような劣性オメガで、劣勢アルファは脱げばペニスが露わになり目に見えて判別できる。…らしい。あったことはないからそこらへんは何ともいえない。 だが、問題はそこじゃない。 俺は今、岐路に立ってるよね?それは間違いなく「選択」が目の前にふたつあるんだ。 晃に「俺は男だけどオメガなんだ」と打ち明けるか、そのまま「アルファなのに晃が好き」と宣(のたま)うか。 (ゲイ…ゲイってなんだっけ。男が男を好き、は、わかるよ。だったら俺もそうなんだけど…だけどもし晃が本当の意味で男しか好きになれないのなら、もしかしたら…) 俺がオメガだと言ったら、その恋心は覚めてしまうんじゃないか? 男しか好きになれない、に、劣性オメガは当てはまるのだろうか? 外見的な性別は男でしかないけれど、生殖機能は妊娠出産ができる女性性だ。そのうえ発情期(ヒート)もある厄介な性だ。 、
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