fateful

恋人同士になりました。

なぜわざわざ学食ランチをテイクアウトして来たのかと言えば、『構内デート』という学生の内でしか絶対に出来ないことをしたかったからである。

それと、自分からのリアクションを多く出せないという性格的な申し訳なさもあっていろいろ考えた結果、こういうシチュエーションプランを考えることなら妄想趣味の自分にでも出来るかもと思い至ったのだ。

今日はその、第一回目というか『お試し』だ。
晃にプレゼンする前からキチンと構内地図を隅々まで見て脳内シュミレーションを幾度となく繰り返し、ひとりで下見までして選んだのがこのガゼボ。

開校したら千を超える人間がうじゃつくなかで喧騒から離れ静かで人気のない場所はそれなりにあったが、デートなんだから明るく爽やかな場所が良いし、なら外が良いじゃん。ってことで旧庭園という名の古い裏庭というちょっとせまい花園を見つけた時には「ベストシチュエーションだ！」と狂喜した。

後は晃にプレゼンしてOK貰えたので、ランチは作るかテイクアウトにするかを提案したかった…が、俺の底辺家事スキルではテイクアウト一択だった。

(おにぎり作りの動画を見ながらやってみたけど…三角にはならないし、なんか硬くて角ばった団子みたいなのしか出来なかったんだよなー…)

丸にすらならないおにぎり持参は諦めた。
そのことを話すと笑われたが、じゃぁどうしようか？ってふたりで話し合うのもまた楽しかった。

学校の近くのカフェのサンドイッチいいよね。たまに来るフードカーのバインミーも美味しいし、あ、でも不定期だからどうかな。
だったら駅前の弁当屋の弁当を登校前に買っていくか？

…などなど案を詰めるのも、カップルっぽくない？って浮かれる浮かれる。

んで、最終的に「構内デートなんだし、構内で賄おう」ってことで学食テイクアウトをガゼボで食べる、に決着がついた。
ほとんどの花は春咲なのか緑ばかりだけれどもちらほら花実はあるし、手入れはされているから雑草で荒れてみっともないということもない。

「到着～。さぁ、お弁当ひろげよう！」

いそいそと大きめのハンカチをテーブルクロス代わりに敷いて買ってきたサンドイッチとチキンバスケットというド定番を並べていく。
それからこれだけは自分で用意しようと意気込んでいた水筒とカップをふたつ前に置いて香りのいいコーヒーを注ぐ。

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