1-3 魔界

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「へー、珍しいドジだな、お前らしくもない」 「ドジついでに白状すると、その天馬は天界の中でも特に名高い名馬で、大天使長からお譲り頂いた、言わば親交の象徴なのです。ただあの子はとにかく散歩が好きで利口ゆえに移動も自在で……気付いたら大事なペガ子がいなくなっていまして」 「あーあ、大失態じゃないか」 悪魔は自分の失敗を棚に上げて嬉しそうに笑った。 「とにかく今回のポイント20・3754の問題に関しては、私のところで全ての情報を握りつぶしています。人間界で仕事をしている間は天界の方には幽体を置いてごまかすつもりです」 「なんだ、私と同じ手口か」 悪魔は可笑しそうに笑った。 「ま、いい。それでいつ頃行くんだ。俺はすぐ行くぞ。宿にはアテがある。途中で合流しよう」 「用意ができ次第参ります。ところで、その宿って、まさかと思いますが芳賀克己の家じゃないでしょうね」 「当然、克己ん家だよ。他にあるか。一応あれでも宿屋らしいし」 天使は不服そうに顔を歪めた。 「あなたが彼を気に入っているのはよく存じていますが。正直、私は下界の者と寝食を共にするのは……」 「いいだろ別に、何を気取ってるんだ。第一あの村にはお前の好きな一流ホテルなんてないぞ。プライドの高いお前が野宿なんてできる訳がないしな」 「白魔術を使えば仮の住まいぐらいすぐでます」 「バーカ。一晩でいきなり家が建ったりしたらそれこそ村中騒然だろうが。それより調べものの結果はまだか。優秀な大天使さまにしてはずいぶん手こずってるじゃないか」 悪魔は天使に毒づいた。 「こういう邪魔が入るからなかなか進まないんですよ! わかりました、妥協します。克己の家に行けばいいんですね、行きますよ!」  不承々々天使は手を打ち、3Dの体は闇に消えた。
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