2-26 エピローグ

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 深夜。  学内のコンピューター室には、あらゆるネットワークにアクセスできる大型コンピューターの端末がある。  ジュヌーンは中立学園都市なので、天界の情報はもちろん、魔界、人間界に至るまで、おおよその情報は覗くことができるのだ。  もっともそれらの機能は一般向けレベルまで侵入できるという意味で、ショウがこれからやろうとしていることは、その権限を越えている。だから、ショウは深夜になるのを待って、コンピューター室に忍び込んだ。  個人情報となると、まず検索ナンバーから調べなくては。  ショウはさっそく選択画面を絞りこんでいき、年代と地域、さらに伯爵の年年齢、性別、名前などを細かくデータ入力していった。途中、何度かパスワードに邪魔されたが機械操作の得意なショウにとって、この程度のロックなら簡単に解除できる。その自信があったからこそこの手段を選んだのだ。  ショウは条件を設定し、検索を開始した。 「ずいぶん時間がかかるな」  画面はずっと動かない。かなり手間どっているということだ。伯爵のデータに不備な点でもあったかと見直してみる。だが、几帳面なショウに限って、そんな杜撰なデータを作成するわけがなかった。高速にセットし直してさらに待つ。 「おかしいな⋯⋯」 ショウはまんじりともせずに、コンピューターの画面を睨んだ。  勝手に調査していることがわかったら、罰則ものである。ショウは時間がたつほどそわそわして外の足音に耳を済ませた。  こんな時間に誰もくるはずもなかったが、それでも不安になる。危険を犯してまで伯爵の状態を探ろうとする自分の行動は我ながら意外だったが、どうしても気がかりで仕方なかった。  最後に別れた時、伯爵は本当に何もかも無くしてしまったように一人ぼっちに見えた。アスタロトが気になってすぐに瞬間移動したが、ショウが消えるまで伯爵は動かなかった。  画面が点滅した。  検索が終わったのだ。だが、ショウは表示された文字を見て、愕然とした。 「⋯⋯該当者がいない⋯⋯?」
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