2-26 エピローグ

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 ショウは軽く頭を振った。  伯爵は人間界にいない。コンピューターはそう告げている。でも、そんなことがあるだろうか。  ショウは念を入れてもう一度同じ作業をしてみた。だが、結果は同じだった。伯爵は存在していない。  嫌な感じがひたひたと体の中に溢れてくる。ショウは無意識にコンピュータの電源を切っていた。  部屋は沈黙に深く沈む。考えたくないことだった。だが、この検索にひっかからないという意味は、たった一つの結論をはじきだしてしまう。 「だから、よせっていったのに」  ショウは驚いてびくっと体を反らした。足音は全くしなかったはずなのに、アスタロトがドアの所に立っていた。 「⋯⋯どういうことなんでしょう」 アスタロトはノロノロした動作で魔法衣の前を合わせた。人気のない校舎はひどく冷える。 「わかってるだろう、人間界に該当データがないってことは。死んだって意味だよ」 ショウは息が止まりそうになった。アスタロトは疲れた顔で、椅子を引いてくると、ショウの前に座った。 「なぜです」 ショウは叫ぶように尋ねた。アスタロトは頬杖をついたまま俯いている。子供に隠し事がバレて、言い訳を探す大人みたいだ。  ショウは納得できなかった。言い訳でなく本当を知りたかった。だから衝動のままに捲し立てる。 「伯爵は安全な所に避難させたつもりです。危険には充分注意しました。あの人は人が変わったようにおとなしくしていたし、それに何より、あの地下の隠れ部屋で、ちゃんとやり直す気持ちになっていたじゃないですか。そうでしょう? なんで死ぬんです、わかりませんよそんなの!」 「決まってたことなんだ!」 アスタロトは机を叩いた。拳が赤くなる。
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