3章の前に…天使の独り言

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 大魔王様が助けたパカという魔性は、最近、村人の人生相談をしているという。  何でも今までは陰ながら村をフォローしてきたが、もうちょっと積極的に存在感を示したいそうだ。  アルパカの姿に驚かない村人の能天気さも相当だが、結局あの魔性は出しゃばりなんじゃないのか。そりゃ人知れず善行を積むより「ありがとう」とストレートに喜ばれるのは嬉しいだろうが。 「つめーたいー素振り~♪だまーされーないよー♪ るーるー♪ きっとォ、君はああぁ~悪魔じゃない~パカ~♪ んーふー♪」  到着すると、パカは鼻歌を歌いながら一心不乱に毛づくろいをしていた。有能な魔物のはずだが、思い切り背後に出現してるのに全く気付かないなんて、たるんでるにも程がある。 「何を歌ってるんです」 私の厳しい声にパカはギョッとして振り返った。 「あっ、ショウ殿!? やだ、聞いてたパカ? この歌、今、めっちゃ流行ってるパカよ。村人とおしゃべりしてたら教えてくれたパカ。ショウ殿こそ、急にどしたのパカ」 「忙しいなら出直しますが」 「大丈夫パカよ。アホ毛のお手入れしてたのパカ。みてみて」 パカは嬉々としてピンクの容器を見せてくれた。 「克己殿がくれたのパカ。ほら、人前に出るとなるとやっぱり身だしなみが大事パカでしょ。このふわふわの毛からぴょこっとはみ出てるアホ毛がずーっと気になってたパカよ」  全身毛だらけのくせに何を言っているかわからない。パカは器用に蹄で毛並みを整えると私の前で座り直した。 「それで何のご用事パカ?」 「まず先払いの相談料を」 ドン、と銘酒魔界酒を置く。魔性の目が輝いた。パカパカ可愛い素振りだが、この魔物は大変な酒飲みなのだ。私は酒瓶を撫でさするパカにぐいと近づいた。 「大魔王様が……大魔王様が克己の料理を美味いと言うんです」
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