3-1 魔界

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「そう……なんですか? でもだからって」 「不服そうだが、本当に気付くわけなどないんだ。だって魔界からの四大実力者は皆、途中で偽物とすり替わって人間界で遊んでいるんだから。ベールなんか着いた早々から入れ替わっていた。とすれば、奴らのダミーごときに俺の作ったダミーが見破られるはずがない。残るは年に一回会う程度の六大天使様だけだ。私の顔を間近で見る事もない天使様に偽物と本物の区別がつくか? ま、そんなはずはないね。だから俺は思ってたよ。もしダミーを出して気付く可能性があるのはお前一人だけだろうなと」 アスタロトは天地会談の裏側をさらすと鮮やかに微笑んだ。ショウは驚きの事実に青ざめる。 「大魔王様、ご自分で何を言っているのかおわかりなんですか。魔界の実力者様方は天界の代表者との重要会議を総スカンしていると暴露したんですよ?!」 「まあ、騒ぐな。証拠はない。作り話といえばそれまでだ」 「しかし」 「いいじゃないか別に。誰が損をするわけでもないんだし」 「馬鹿にしているじゃないですか、こんな汚いやり方で遊び惚けているなんて」 「汚いと言っても我々は悪魔だからな。魔界は弱肉強食の世界で騙したり騙されたりも必須スキルだ。汚い手も技の内なんだよ。他の魔王連中も必要を感じればさすがに自分が出る。今回は平和で予定調和な内容だからそこまでする必要もないってことだ」 アスタロトはのんびり言った。確かに証拠もない以上、ショウが一人で波風をたてても馬鹿をみるだけである。 「まあ、飲め」  理不尽そうなショウにアスタロトはお茶をすすめた。魔法の杖の先でテーブルにティーカップを描くと豪華なティーセットが出現する。 「では頂きます」  ショウは恐る恐るカップに口をつけた。何がどうなっているかわからないが、温かいお茶は映像であるはずの自分を突き抜けることもなく、ちゃんと体におさまる。 「心配かけたか? すまない」 大人びた口調でアスタロトが謝罪すると、ショウは逆に落ち着かなくなった。
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