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3-2 天界
大神殿の奥の間は、天界で最も格式の高いサロンである。そこで開かれる六大天使のティーパーティーは、天上人の憧れだった。
「……ほう、これは人間界の紅茶だね?」
ミカエルはたちのぼる高貴なお茶の香りに目を細めた。
大天使ミカエルは天界を管理する最高司令官である。しかしこのお茶会の場では穏やかに寛いでいる。なにしろ六大天使はお茶会が好きだ。扉の外ではそれぞれが立場のある身分だが、六人の間では気心知れたやりとりができる。
ウリエルが上機嫌で言った。
「お気づきになりましたか。先日、天地会談の折に入手したものです。たまには人間界のお茶もよろしいでしょう。今回は特別に私が茶葉をブレントしてみました」
ウリエルは天使であれば誰でも一度は学ぶ神学園の学園長である。自身も白魔法の第一人者として非常に学識の高い人物だ。
ウリエルの言葉に満足気にうなずいたミカエルは、隣りのラファエルに顔を向けた。
「どうだ、ラファエル。ブレンドの比率はわかるか?」
ラファエルは優雅にお茶を口にふくんだ。ちなみに彼は司令官補佐である。ミカエルが表に立つ分、実務全般を担う影の実力者だ。
「そうですね、ダージリン3にウバ1といったところでしょうか」
ウリエルはにこにこして聞いている。
「ではガブリエル、君は?」
「済まないが私はお茶は詳しくなくてね。ただ門外漢の私が飲んでもとても美味しいよ」
ガブリエルは転生システムの総資任者である。彼は苦笑いでティーカップを置いた。
「それではセラフィム、君ならわかるだろう?」
魂浄化の総指揮をとるセラフィムは、やさしげな風貌ながら奇跡の実施に積極的で上々の評価を得ている。
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