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3-3 紫玉
紫玉とは何か。
その説明をする前に、まず世界の成り立ちについて語らねばならない。
まず天が在った。
天は光にあふれ、幸福に満ちた究極のパラダイスだった。しかし、豊かな天界を維持するには膨大なエネルギーが要る。
天使はこのエネルギーを人間の魂から採取していた。
魂は生物の遺伝的記憶や自我を集結させた核と、その核を覆う炎のようなエネルギー物質の二層で構成されている。人間が成長するとエネルギー物質も増幅するため、一定の熱量になるまで待ち、頃合いをみて肉体と魂を分離する。
エネルギーを奪った核は、転生させ、再び魂を生育するのだ。
しかし、従順だった人間が智慧の実を口にしたことで問題が生じた。
瞬く間に知的進化をとげる人間がブロイラー同然の扱いを受け入れるわけがない。やむを得ず人間を天界から追放し、異なる空間で生態系を構築する事にした。
人間界の誕生である。
しかし、ここでさらなる問題が発生した。智慧のついた人間は善だけでなく悪の感情も発生したため、魂が汚れてしまうのである。
負のエネルギーは天界では使えない。困った事になったが、逆に悪を昇華すれば、従来のエネルギーより格段に良質のエネルギーに変化することもわかった。結果、天界は魂の浄化と善への導きに取り組むこととなる。
かくして汚れた魂の浄化を目的に、魔界が作られた。
魔界は人間界に近い異次元空間を利用した。ひどい荒涼地帯で原生生物は闘争的だったため、彼らを説得し、この次元を浄化機関として確立するまでには長い戦いと年月を必要とした。
当時、その話し合いに天界から出向いたのが大天使ルシフェルである。
しかし魔界側との交渉は早々に決裂し、長丁場が予想された。その間、天界では重要職である六大天使の一人が欠ける訳にもいかず、二代目ルシフェルが誕生する。
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