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「アリアス、バルバトス! そしてビュエル、ビフロン! 勢ぞろいだな! 他の連中も名ざしてやろうか」
名前を呼びながらアスタロトはピアスをはずした。青い石は小さい球に磨かれていて、身に着けているとほとんど目立たない。
「Flamulina velutipe!」
ピアスが姿を変え、青白く光る剣に変化した。
アスタロトは高々と剣を天に向け、黒雲のたちこめる重い空に雷を発した。今やアスタロトも剣と同じく発光している。細い彼の体は逆光で輪郭を失い、一本の線と化していた。
「この非礼、我が魔法で返す。裏切者に罰を」
びりっ、と空気が揺れた。
矢の追撃はすでに止まり、かわって恐怖が場を支配していた。アスタロトの呪文が発動する。この大魔法を前にして下手な呪文など口にすることはできない。まして攻撃をしかけたりしたら自殺行為である。
「lsoko kpwlpo kueilwe kf a Suillus bovinus 」
アスタロトの声は静まり返ったタルタロスに、響き渡った。
その目は半眼で砂の表面を見据えている。紫の瞳に感情はなく冷酷な輝きを放っていた。
反逆を企んだ魔王達は、その目に射すくめられて動けない。
「loijo luhilllpi jku tyfffrsokrpsn plpfvppv lojsj r as reishha」
アスタロトは青い刃を自分自身に向けた。
魔王達は思いがけない動作に息をのんだ。アスタロトは狂ったように刃をつきたて、とりつかれたように何度も何度も自分を刺した。血みどろの肉片はぶざまに地面に転がった。
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