1-6 お仕事

2/6
前へ
/349ページ
次へ
「どこからいきます?」  一応ソノ道の人らしくお祓いグッズを持った天使が尋ねる。数珠も錫杖も全然必要ないのだが、目撃された時に理解されやすいよう渋々身に着けたのである。 「地図を見て。まず、一番近いところで、人魚とか女神が戯れてるみどりが池。そんでこっちが河童が発見された氷見洞窟。奥から雪男とか雪女が出没していた。あとは、お寺の裏山、ヨネさんちの竹林、イネさんちの蔵、タネさんちの沼、公民館のある里美塚ではでっかい魔物が寝てる。山中公園とあかね山にも出るらしい。あかね山には出るポイントが二つある」 「この村、やたら祠があるな」  地図をみながら天使が言った。確かに距離を置かずにかなりの祠が点在している。 「そうだね。ま、どれも寂れてるし小さいけどね」 克己はポイントを書き込んだ地図を悪魔に渡した。悪魔は天使に言った。 「できれば一日と言わず昼間のうちに片付けたい。できるか」 「まあ早い方がいいでしょうね。しかし全部は……私は一向に構いませんが、魔族に昼間は厳しくないですか?」 「私の事はいい。昇、村人の一人たりとも傷をつけるなよ。人だけじゃなく畑や庭木、建物一つ壊したら駄目だ。天界と魔界のものだけを消せ」 「承知いたしました」 天使は頷いた。悪魔は回る順番をイメージしながら慌ただしく言った。 「結局、一つ一つ地味にやるしかないな」 「そうですね。手分けしてもいいですが、今回は天魔混在で何が出てくるかわからない。メインとフォローで一緒にいた方がよさそうですね」 悪魔と天使はツーカーで話を進めていく。
/349ページ

最初のコメントを投稿しよう!

207人が本棚に入れています
本棚に追加