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「どこからいきます?」
一応ソノ道の人らしくお祓いグッズを持った天使が尋ねる。数珠も錫杖も全然必要ないのだが、目撃された時に理解されやすいよう渋々身に着けたのである。
「地図を見て。まず、一番近いところで、人魚とか女神が戯れてるみどりが池。そんでこっちが河童が発見された氷見洞窟。奥から雪男とか雪女が出没していた。あとは、お寺の裏山、ヨネさんちの竹林、イネさんちの蔵、タネさんちの沼、公民館のある里美塚ではでっかい魔物が寝てる。山中公園とあかね山にも出るらしい。あかね山には出るポイントが二つある」
「この村、やたら祠があるな」
地図をみながら天使が言った。確かに距離を置かずにかなりの祠が点在している。
「そうだね。ま、どれも寂れてるし小さいけどね」
克己はポイントを書き込んだ地図を悪魔に渡した。悪魔は天使に言った。
「できれば一日と言わず昼間のうちに片付けたい。できるか」
「まあ早い方がいいでしょうね。しかし全部は……私は一向に構いませんが、魔族に昼間は厳しくないですか?」
「私の事はいい。昇、村人の一人たりとも傷をつけるなよ。人だけじゃなく畑や庭木、建物一つ壊したら駄目だ。天界と魔界のものだけを消せ」
「承知いたしました」
天使は頷いた。悪魔は回る順番をイメージしながら慌ただしく言った。
「結局、一つ一つ地味にやるしかないな」
「そうですね。手分けしてもいいですが、今回は天魔混在で何が出てくるかわからない。メインとフォローで一緒にいた方がよさそうですね」
悪魔と天使はツーカーで話を進めていく。
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