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アスタロトの保護魔法は全身をシールドする技術で、一種の空間魔法である。アスタロトは独自にタルタロスや紫玉のデータを調べはしたが、それは主に過去の文献や記録を調査したもので、そんな大がかりな空間の性質など検査している訳もない。
「これは実験のデータだから、本物のタルタロスとは若干異なるかもしれないが、具体的に通常の魔力を百とすれば、そのような歪んだ空間では50%、半分しかその力は発揮できないそうだ。時間的にも、効力的にも」
ルクルは瞬間、金しばりにあったように動けなくなった。
アスタロトは、確かに、言ったはずだ。
大丈夫。このシールドは特別性で、ちょっと体力はつかうけど、何とか1日はもつ。24時間もあれば、邪魔者を片づけ、紫玉を封印から解くのに間にあうはずだ。
…………24時間?
その半分ってことは……12時間しか、シールドは持たないってこと?
しかも、紫玉に直にさらされるのに、そのシールドは通常の半分の強度しかないってこと!?
「秘書殿! かたまってる場合じゃないだろう! どうなんだ、やっぱり大魔王様は、空間魔法を使ってタルタロスに入っているんだな」
「……ええ」
ショウは、苦々しく顔を歪めた。
シールド、そして時間制限。最悪なことに大当たりだ、ちくしょう。
「仰る通りよ。確かにアスタロト様は、保護魔法で直接タルタロスにお入りになったわ。もちろんあなたの言った事なんて御存知ない。シールドが持つのは、あと6時間なんてちっとも知らないはずよっ」
「6時間!?」
「仮にその学者の説を正しいとするならね。さっき魔法塔のモニターをみた限りでは、まだ全然紫玉に近づいてもいないわ。しかも封印塔に辿りついてからが本番なのよ。今度はそこから99の呪文で封印をとかなくちゃならない。これこそ大仕事よ」
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