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3-11 焦燥
大魔王さま、でっかい……
いや、笑うところじゃない。あれは相当な肉体的負荷だ。
ショウは結局、ジュヌーンの別荘でアスタロトの動きを固唾をのんで見守っていた。
鏡からみえるタルタロスの様子から目を離せない。
アスタロトは一見、童心にかえってちょっと大きい棒倒しをしてるようだが、状況はそんな楽しいものではなく、まったく油断できない。
封印塔を崩そうとしている今、その刺激で紫玉がいつ変化してもおかしくないし、残り時間はどんどん切迫している。
ルクルとの通話を切ったあと、ショウも自分なりにやれることを精一杯探そうとした。
タルタロスが天界の空間に切り替わった時は、即座にジュヌーンから天界に瞬間移動し、そこから同空間となったタルタロスに移動を試みもした。
だができなかったのだ。
ショウもアスタロトと付き合ってきたおかげで、天使にしてはかなり移動魔法を使える方である。だからどうして同空間になっても移動が叶わないのか、わからないでいる。そもそもタルタロスが魔界にある時点でアウトなのかもしれないが、明快な理由を見つけることもできないままがっかりしてジュヌーンに戻った。
その間、克己は放置である。しかし、報告のしようもない。
さすがの律義者もアスタロトの窮地を克己に告げることはできなかった。ジュヌーンが天界の空間に変化してしまったことも、それによるダメージも、どれだけ危険な状況かショウには痛いほど察しがつく。
まして巨大化した封印塔を目撃した時は、もう封印解除は絶望的だとさえ思った。実際、たった三本の円柱を外しただけでアスタロトはヨロヨロである。
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