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「Plavovitens iiikspkeu shus sjiwjfui surjus skpoe su awueo ru sleujsau f e si enjusu 」
呪文の途中から目がぼやけて円柱が霞んだ。
体が限界を迎えようとしているのか朦朧として眠りそうになる。
アスタロトはわざと唇を噛んだ。容赦なくぐっと歯をくいしばったため、唇にうっすら血がにじむ。
アスタロトはだらしなく下がっていた右手を持ちあげて、滲んだ血を拭った。痛みのおかげで意識がはっきりする。
大丈夫、まだ見える。
だが、痛みが遠のくと強烈な眠気に襲われる。痛みと眠気の狭間で封印塔と向き合う。
駄目だ、ここでくたばってる場合じゃない。
克己と約束したんだ。
周囲にはアスタロトが外した銀の円柱が、魔界の9つの月に照らしだされて山のように転がっていた。
恐竜の骨のように不気味な静寂をたたえて横たわる円柱。地面の流砂さえ目に入らなければ、時間など止まっているようだった。
黄白色の砂が闇に染まって青くみえる。死地を想像させる無機質な世界で、唯一生をみなぎらせているのはまぎれもないアスタロトだ。
あと15本。
アスタロト乱れた髪をかき上げ、封印塔の骨組を睨んだ。
無雑作に15本の銀のパイプが突き刺さっているようにみえるが、アスタロトはいたって真面目にパイプの位置を確認していた。
残り少なくなるほど文献で覚えた位置関係の間隔がつかみにくく、正しい順番を見極めるのが難しくなる。
紫玉はまだ現れない。
だが、中心部分に封印塔とは別個の強い結界を施した空間が覗いた。
これは完全に資料の通りだ。
アスタロトは確信する。文献には封印塔の円柱を全て取りのぞき、完全に封印を解除してからでなければ紫玉は実体化できないとあった。今はこの目に見えない結界のバリヤーの中で、混とんとしているのだ。
「Cinerascens kiksi woksiifo solej dkiuir diuur kfjurjko suhyems jfuye fkiru fmiuwssxj」
呪文を一つ言うたびに、大きく深呼吸しないと息が保てなくなっていた。
おそらく呼吸器系にもダメージが及んでいる。とはいえここで回復魔法に魔力を割けば、巨大化は解け、残りの円柱を外す魔力は足らなくなるだろう。
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