1-8 経緯

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 しかし、地下では生殺しで封印された魔物が増えていった。  うすっぺらな地表の下で大量の魔性がうごめいている。彼らは外に出たいと願い、年月を経ていよいよ力を蓄えた。 (我々に力を) (地下からの解放を)  しかし、個々の魔物では能力が足らず封印がとけない。彼らは悲願を叶えるため一致団結した。そして遂に一体化して絶大な力を持つに至ったのである。 封印はとかれ、魔性は村を住処とした。 「これがさっきのヤツの正体か」  天使は水晶玉を読み、魔物の気配を感じ取った。岩場の上の存在と同じ匂いがする。 「どこに隠れたか……klloooiitw wyuii kookfunw sj aaaww」  天使もだてに上級天使ではない。悪魔が寝ている今、優先すべきは情報収集だ。天使は魔物の居所を透視した。幾重もの妨害を感じるが白魔法で突き破る。急がねばならない。  克己がさらわれてしまったのである。  家についた時、芳賀屋はもぬけのからだった。どうやら、悪魔が結界修復で体力を使っていくうちに、こちらの結界も共鳴して弱まっていたらしい。  おそらく魔物は最初から克己を狙っていたが、それでも入ることができなかった。そこで悪魔に直接攻撃にきたのだろう。  案の定、悪魔が気絶すると同時に結界は綻び、その隙をついて克己は敵に奪われたのである。 「痛てて……」  天使がおにぎりを食べ終えた頃、悪魔がようやく覚醒した。さて、また騒がれそうだと覚悟した途端、悪魔が血相を変えて起き上がった。
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