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しかし、地下では生殺しで封印された魔物が増えていった。
うすっぺらな地表の下で大量の魔性がうごめいている。彼らは外に出たいと願い、年月を経ていよいよ力を蓄えた。
(我々に力を)
(地下からの解放を)
しかし、個々の魔物では能力が足らず封印がとけない。彼らは悲願を叶えるため一致団結した。そして遂に一体化して絶大な力を持つに至ったのである。
封印はとかれ、魔性は村を住処とした。
「これがさっきのヤツの正体か」
天使は水晶玉を読み、魔物の気配を感じ取った。岩場の上の存在と同じ匂いがする。
「どこに隠れたか……klloooiitw wyuii kookfunw sj aaaww」
天使もだてに上級天使ではない。悪魔が寝ている今、優先すべきは情報収集だ。天使は魔物の居所を透視した。幾重もの妨害を感じるが白魔法で突き破る。急がねばならない。
克己がさらわれてしまったのである。
家についた時、芳賀屋はもぬけのからだった。どうやら、悪魔が結界修復で体力を使っていくうちに、こちらの結界も共鳴して弱まっていたらしい。
おそらく魔物は最初から克己を狙っていたが、それでも入ることができなかった。そこで悪魔に直接攻撃にきたのだろう。
案の定、悪魔が気絶すると同時に結界は綻び、その隙をついて克己は敵に奪われたのである。
「痛てて……」
天使がおにぎりを食べ終えた頃、悪魔がようやく覚醒した。さて、また騒がれそうだと覚悟した途端、悪魔が血相を変えて起き上がった。
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