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「それで黒幕はわかったのか」
「はい。この地には元より力を持った魔性がいたようで」
天使は悪魔に水晶玉を向けた。早送りでダイジェス版・妖の歴史が上映される。魔物の詳細情報に悪魔は興味深げに言った。
「ふーん、大抵魔性は協調性がないんだが、一体化とは珍しいな。しかもずっと住んでたから地下に移動経路を持っている。封印が解けた今、祠は地表に出る移動スポットになっているわけだな。魔界にはいないタイプだ。おもしろい」
「そうですねえ。まあ、魔性と一口に言ってもいろんなのがいますからねえ」
あなたも充分変わってますよ、言外に匂わせる。悪魔は珍しい魔法や魔性に興味を惹かれるタイプで、そのおもしろいのにヨダレを引っかけられた恨みは早くも薄れたようだ。
「で、そいつは今どこにいるんだ」
「あかね山の第二ポイント。奥のほうです。滅しますか? それなら逃げられないように祠をつぶしておきますが」
「いや、直接話をする」
悪魔はスッと立ち上がった。
寝て食べたおかげで体が軽い。しかも真夜中は完全に悪魔の活動時間だ。本領発揮にふさわしい。
「はいはい、ただいま。それじゃペガ子を呼びましょう」
体力温存のため二人は愛馬・ペガ子の背中に乗った。大きな満月の夜空に天馬が羽ばたく。
あかね山はすぐ近い。
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