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「ワシはこの辺りをしきっとる魔性パカ。話せば長くなるパカよ」
「え? じゃあパカが最近の混乱の原因なの?」
もはや流れに任せて名前はパカで決定である。そのパカは克己の安易な連想に憤慨した。
「違うパカよッ!」
ビシバシ蹄で地面を叩く。
「確かに昔は悪かったパカ……今は愛らしいパカだけど、これは仮の姿パカよ。本体はもっとモヤモヤした悪霊のかたまりさね。そのせいで地下に封印されて何百年も不自由な暮らしをしてたのパカ」
「ははあ」
「表に出たくて祠の下から地表を覗き見する……それぐらいしかできなかったパカよ。そんな時、天界の気流から零れ落ちた通りすがりの神さまに見つかったパカ。その神様はこの不安定な土地で苦労してる氏神さまを見かねて、その手助けをするなら救ってやろうって言ってくれたのパカ」
「へえ! その氏神さまがアルパカだったんだ」
パコーン! パカの蹄が安直な克己の頭上をかすめた。
「アルパカから離れるパカよ! ここは日本の山奥パカよ? アルパカは南アメリカが原産パカ。氏神様は古くからこの土地を守ってる存在で全然違うパカ!この村の氏神さまはきれいな泉に住んでる蛇神さまパカ!」
「だってパカがパカパカ言うから!」
パカが渋滞している。
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