1-9 魔性

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「とにかく我々は外に出たい一心で一生懸命お願いしたパカ。だってこの機会を逃したら一生地下でウゴウゴして終わってしまうパカ。そしたらなんと全員が気持を一つにしてお祈りしたせいで合体しちゃったパカよ」 「ああ、悪役の最終形態って合体して巨大化するもんね」 「悪役じゃないパカ! みんな気のいい魔性パカ! 地下で共同生活しているうちに気ごころ知れた仲になったパカ!」 スコーン! さらにパカの蹄が克己の頭上にヒットする。 「でも元はバラバラの魔性パカ。だから形を保つのが一苦労なの。そこで神さまがめっちゃイケてる依り代を用意してくれたパカ」 パカは自慢げに金色の毛をふさふさ揺らした。 「通りすがりの神様はペルーの偉い神さまだったパカ。会合で出かけて、気流に乗って地元に帰る途中だったパカよ。ペルーではアルパカは「神さまの贈り物」って言われて紀元前から大事にされてるパカ。だから神様にしてみたら依り代の姿は当然アルパカに決まってるのパカ」 「崇められてるっていうか、結局毛じゃないかな。高く売れ、」 「存在自体が尊いパカッ!」 スパーン! パカの蹄が炸裂する。 「神さまは言ったでパカ。『この土地は特殊な場所ゆえ、魔のものがあまりに多く出没し、蛇神は疲弊している。ここでは特別に乱暴者を追い払う存在が必要であろう。そなた、かつて村に迷惑をかけたなら、これより先は村を守って償いをせよ』なるほど納得パカ」 神の言葉を噛みしめるようにパカは目を閉じた。 「任せてもらった以上、理想郷を作ろうと思ったでパカ。良い人、楽しいこと、平和。そういうので一杯の幸せな村を作る決意をしたでパカ」 パカは見込まれただけの事はあり、パワフルで行動的だった。
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