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良い村を作るには、まず気立ての良い人から。
パカは人選から入った。性質が穏やかな善人を道に迷わせて村に引き止める。一方、悪人とみれば結界を張って寄せつけない。
パカの人選は正しかった。善良な人々は誠実に働き、助け合って仲良く暮らした。
パカは頑張った。迷い込んだ魔物を退治し、土地を肥えさせ、花を咲かせ、実を実らせた。だからこの村はいつも豊作だった。川も氾濫しない。台風がきても蹴散らしてしまう。
パカの野望は叶った。
世の中が進化しても、ここだけは日本の原風景を彷彿とさせるのんびりした村だった。
やりがいって大事パカ……このままずっとこの村を大切にするパカよ。
遠い昔、暴れていた過去など嘘のようにパカは使命感を持って村を愛していた。
だがアクシデントは突然起こった。
春まだ浅い日、大きくて、しかもできそこないの魔道が開かれたのだ。
この魔道は絶大な影響を及ぼした。
ただでさえ磁場の荒れているこの土地で、壊れた気流が勝手に魔界や天界につながり、多くの新参者がやってきてしまったのだ。
ドラキュラや火の玉、天馬やユニコーン。村はしっちゃかめっちゃかである。大量なうえ、倒しても倒しても新たな魔物が流出する。さすがのパカも手に負えず村人も大混乱になった。
そんな時、また魔道が開かれる。
パカは魔界に身を置いた事がなかったので、悪魔のことなど知らなかった。
道を開いたハタ迷惑な奴。しかもひょろひょろしているくせにめっぽう強い。一日で七つもの結界を直した凄腕で、新参者はあっという間に封印されていく。この勢いだと魔性であるパカの事も始末するだろう。
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