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パカは消されてしまうのは嫌だった。
また土の下に封印されたらもう村に干渉することはできなくなる。あの暗い闇の中に戻るのかと思うと身震いがした。
「そんな訳でその悪魔とは徹底抗戦の構えパカ。克己殿には悪いけど、人質になってもらうパカよ」
「経緯はわかったけど、太郎って割とどんくさいとこあるし、そんなに凄いかなあ。昇は大魔王って言ってたけど」
「確かに割とどんくさいけど、めっちゃ強いパカ」
落石で自爆してる姿を見られているので、どんくさいと言われても仕方ない。克己は首を傾げた。
「そっかー、パカから見てもやっぱ強いのかあ。俺、そういうの全然わかんないからさ、びっくりしちゃったよ。昇に俺なんかとは身分が違うんだって怒られちゃって……はは」
「どんなやつパカ、太郎って」
パカがじりじりと近づき、二人はなんとなくヒソヒソ話しをしている雰囲気になる。パカは自ら進んで明るい村作りをしたぐらいだから、人なつっこいのである。
「太郎はねー、そうだな、わがままで神経質で気難しい」
「付き合いにくいパカ」
「うん。でも……一緒にいると楽しいんだ。良いヤツだと思う」
克己はこれまでの二人の関係を思い出しながら言った。
「俺さ、実はさ、いくら太郎が強いとか偉いとか言われてもピンとこないんだ。だってそんなの俺とは関係ないもん。人間じゃない事もどうでもいいんだ。太郎は迷って家に来た悪魔で、そんで仲良くなっただけなんだ」
克己はずっともやもやしていた胸のうちを吐き出した。パカはうんうんと長い首を上下にして話を聞いてくれる。聞き上手なパカである。
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