207人が本棚に入れています
本棚に追加
「克己殿は、太郎と友達パカね」
「そうだよ」
克己は即答した。変な出会いだったし相手は魔物だが、克己は悪魔が好きなのだ。
「そんなら太郎の中身だけ知ってればいいことパカ。友情と肩書は関係ないパカよ。きっと太郎もそう思ってるパカ。だから余計な事は話さなかったパカ」
克己はこくんと頷いた。
「きっと太郎は克己殿とは気持ちだけで繋がる対等の友達でいたかったパカ。だから克己殿は太郎どんなやつかだけ知ってればいいパカ。今まで通りでいいパカよ」
こくん、と再び頷く。
…⋯そう。太郎は口は悪いし、自分勝手だし、何でも突然でやりたい放題だ。でも、結果として克己の不利になることなんて一度もしたことがない。いつも結局、克己には優しかった。
だから帰ってきて欲しかったし、ずっと待っていたんだ。それが答えじゃないか。それでもういいじゃないか。
克己はパカの前足を握った。
「パカありがとう。俺、ずっとモヤってたけどすげえスッキリ」
「だてに長く生きてないパカ」
ふっふっふっ、とパカは体を揺らして笑った。蹄でぽんと肩を叩いてくれる。
「俺、パカにも長生きして欲しい。パカとも友達になりたい」
「もとより村人はみんな宝物パカ」
パカは言った。
「ずっとこの村を守ってきたパカ。愛あればこそパカ」
「一人ですごいよねえ、大変だったろ?」
パカは克己の一言で張り詰めていたものが壊れそうになった。うつむいてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!