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1-11 帰還
さて。
悪魔と天使はペガ子に乗って魔天大道を飛んでいた。この道は空間に天魔の気流をしっかり魔法で固定してあるため、悪魔も天使も自在に移動に使用する天下の公道である。
さすがに名馬だけあり、ペガサスは桁違いに速い。振り落とされないように二人はその体にしがみついている。
「すいかを食べ損ねましたね」
天使は残念そうに言った。
「やむを得ない。急ぐからな。交換の儀式をするには私の魂を魔界銀行から引き出さなきゃならん。連絡すればすぐ使えると思ってたら魂の引き渡しは本人確認と念書が必要だって言うし。あいつら融通がきかないんだ」
「まあモノが魂となると割と大きな取引ですからね。儀式が完了したら通信して下さい。寿命の書き換えの準備をして待機してます。この分ならすぐ着く。克己も夕方には元気に目が覚めるでしょう」
「克己にはまた消えたって怒られそうだ」
悪魔はくすりと笑った。
「いいじゃないですか、また行けば。あの宿はガラガラですからいつでも泊まれますよ。それにしてもたかが一泊でダイヤの原石は支払いすぎじゃないですか?」
「そうか? 相場がわからん」
ペガ子がひひんと鳴いた。
魔天大道の分岐に差し掛かっている。ここから先は上下に空間が固定され、天界と魔界に道が分かれるのだ。
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